「声優オーディションに受かる人ってどんなことをしてるの?」
「オーディションに受かるためのコツやポイントって何かあるの?」
声優オーデションで合格を目指す皆さんの中にはこんな疑問を持った人たちもいらっしゃるでしょう。
現実には、「これさえ出来ればオーディションに受かる!」のようなコツなどはなく、実際のコツやポイントとは一つ一つの審査への質を上げる工夫や心構えなどになります。
今回の記事では、
- オーディションを受ける前に決める事、調べる事
- 書類審査
- ボイスサンプル
- 自己PR
- 実技審査
のそれぞれのコツやポイントとともに、
- 業界関係が声優希望者に求めるもの
についてを紹介させて頂きます。これらを参考にして、あなた自身が「声優オーディションに受かる人」になれれば幸いです。
目次
まずはやりたい声優の仕事のジャンルをはっきりさせる!
オーディションを受ける前にするべきことの1つが、自分が何をする声優を目指すかはっきりさせることです。
声優と一言でいってもその仕事内容は、
声優の仕事内容
- アニメの声優
- 洋画の吹き替え
- ゲームのキャラクター
- ラジオパーソナリティ
- テレビなどのナレーション
- アニメソングなどの歌手活動
- ドラマCD
- イベント司会者
など様々です。
声優を目指すにあたって、「とにかく何でもいいからやる!」という気持ちでいる人もいるかもしれません。確かに選り好みせずに何でもやっていくという気持ちも大事でしょうが、それぞれのジャンルごとの特徴もあり、結局どれもモノにならずにライバルたちに埋もれてしまう恐れがあります。
そこで、まず初めにすることは、
ポイント
- どのジャンルを目指すか「自分の声優像」をはっきりさせる
ことです。「どうして自分が何故声優になろうと思ったのか」、「声優のどんな部分に惹かれたのか」、「何をしている声優に憧れたのか」、などを思い返してみましょう。そうすれば、それを実現するためのレッスンにも身が入り、モチベーションも上がることから演じるキャラクターなどにもより感情が入った声で仕事ができるでしょう。
そしてもう一点付け加えておきたいポイントは、先ほどとは矛盾しているようですが、
ポイント
- 1つのジャンルに拘りすぎない
ということです。実際にレッスンやオーディションを受けていく中で「これは自分には向いていないかも‥」、「こっちのジャンルの方が合っているかも‥」ということは十分考えられます。
自分自身の希望に拘ることも大事ですが、それも度を過ぎると自分の可能性を狭めてしまうことになります。経験を積み、講師などの指導者の意見も聞き柔軟に対応できるようにしましょう。
声優事務所の求める人材と自分が合っているかを確認する!
声優としての技術はもちろん大事ですが、それに加えて事務所の特徴と自分のカラーが一致していることも重要です。こちらも先程と同様にオーディションを受ける前に調べておくべきことです。
例えば、アニメの吹き替えを希望している人がナレーションを求める事務所のオーディションを受けても、ジャンルごとの特徴の違いから合格できる可能性は低いでしょう。また、近年はアイドル声優などテレビや舞台でも活躍している声優さんが増えていますが、ルックスではなく純粋な声の技術でやっていきたいという人もいらっしゃるでしょう。
このように事務所の特徴、求める人材と自分が明らかにミスマッチになってしまわないようにすることが大事です。
なので、ここでのポイントは、
ポイント
- 養成所に入所するなら、直営の事務所の特徴をちゃんと把握しておく
- どうしても合格できないなら思い切って養成所を変え、別の事務所のオーディションを受ける
- 養成所以外の養成機関にいるなら、とにかく何度でもオーディションを受け、自分に合ったジャンルをより知っていく
となります。オーディションを受ける前に下調べを十分に行い、そしてオーディションを受けてからも、自分の適性についても常に検討していきましょう。
声優オーディションで受かる書類選考のコツとは?
面接の前に行われる書類選考でのコツは、
書類審査のコツ
- 書類の字は綺麗に書く
- 写真をきちんと撮る
- 自己PRは声優業に活かせる強みについて書く
です。「書類の字は綺麗に書く」ことに関しては説明は不要でしょう。自己PRに関しては後述の「自己PRで受かるコツ」の項目を参考にして頂いて、ここでは写真について説明させて頂きます。
基本的にどの審査であっても「バストアップ写真」、「全身写真」が必要となります。「ぼやけないよう撮る」、「余計な物が写らないようにする」、「姿勢を良くする」、「写真を加工しない」などは当然ですが、それ以外では、
バストアップ写真を撮るコツは、
バストアップ写真を撮るコツ
- 顔の輪郭が髪の毛や手で隠れないようにする
- 髪型は男女問わず清潔感があるようにする
- 女性なら派手になりすぎないナチュラルメイクをする
- 男性でも顔色が良く見えるようにするなど必要ならメイクをする
- 自然体なほほ笑んでいるような笑顔をする
となります。
サンプルとしては、このように撮れれば大丈夫です。
引用:rj studio
全身写真を撮るコツは、
全身写真を撮るコツ
- 派手過ぎず地味過ぎない清潔感のある服装にする
- 手足の長さなど全体のスタイルが分かるような服装、サイズにする
- カメラの焦点はお腹や腰あたりに合わせる
- バストアップ写真と同様にほほ笑んでいるぐらいの笑顔にする
です。こちらもこのように撮れればOKです。
引用:rj studio
個人で撮影するなら1眼レフカメラを使用できれば理想的ですが、購入費や撮影の技術に不安があるなら、
ポイント
- 写真スタジオを利用する
ことをおすすめします。やはりプロのカメラマンに撮ってもらった方がより質の高い写真が出来ることは間違いありません。多少面倒に思うかもしれませんが、こういった些細なことがライバルたちとの差になります。
声優オーディションで受かるボイスサンプルのコツとは?
書類選考と同様に面接前に事務所側に送るボイスサンプルは「声優の名刺代わり」と言われるほど重要なものです。特に相手側から指定されない限りは基本的に「自己紹介+セリフ」で構成されます。
ここでYouTube上に実際の声優さんのボイスサンプルがあったので参考に紹介させて頂きます。
いかかだったでしょうか。ひょっとしたら自分がオーディションに挑む事務所の声優さんのボイスサンプルがYouTube上にあるかもしれないので探して参考にしてみましょう。
ここで意識しておきたい作成のコツは、
作成のコツ
- 録音時間は約2~3分以内
- 自己紹介は5秒ぐらいで簡潔にする
- セリフは「オリジナリティ+物語性」を重視する
- 冒頭から数十秒で判断されやすいことを意識する
- 有名なキャラクターの声真似はしない
などです。
つまり聞く側にとって、
作成のコツの詳細
- 短すぎず長すぎない時間
- 滑舌良く、聞き取りやすい自己紹介
- 審査員が続きが気になるような、オリジナリティと物語性
- セリフからではなく自己紹介から本番だと心掛ける
- 元々の声優と比較される有名キャラクターの声真似ではなく、自分の声の強みを活かせるようにする
これらのことを意識しましょう。
なお、近年はボイスレコーダーやスマホの録音機能などが発達していることからそれらで作成する人たちが多いですが、ここではより録音のクオリティーを上げライバルたちと差を付けたいのなら、
ポイント
- 録音スタジオを利用する
ことをおすすめします。
録音できるスタジオまでの交通費など出費は多くなりますが、それでもより本格的な機材や環境で録音することでクオリティーを上げることができます。もちろん、自分自身のスキルを上げておくことが大前提であることは言うまでもありません。
また、もう一つ注意点としてボイスサンプルは何度も録音して一番出来がいいものを提出できますが、審査員にとってはこの録音されたものを「あなたの標準レベル」と見なします。なので、もし面接などの場で「目の前でやってみて欲しい。」という要求が来たとしても、同じレベルの質ですぐにやれるように日頃の練習を怠らないようにしましょう。
声優オーディションの自己PRで受かるコツとは?
自己PRとは、自分がどんな長所を持っているかを相手に伝えることです。
気を付けないといけないのは、自己PRの内容だけではなくその時の表情や見た目、態度などの言葉以外の部分も大事だということです。これは実技審査中でも同様です。ここではこれらについて説明させて頂きます。
自己PRの内容ですが、
ポイント
- 声優業務に活かせる強みを持っていること
- 将来どんな声優になりたいか
を重点的に伝えるようにしましょう。声優オーディションの自己PRなので当然と言えば当然ですが、例えば、歌やダンス、演劇などを習っていたのならば「歌唱力」や「表現力」など、どんなことであっても声優の仕事に活かせるように伝えましょう。
もし自信があるなら、実際に「声の演技」でアピールできれば一番ですね。例えば、「女性なら少年などの男性の声が出せる」、「男性なら女性に近い高い声が出せる」、などのアピールができれば審査員にとってもあなたの印象が深まるでしょう。
これは先述の書類審査の自己PRでも同じです。面接での自己PRでは書類に書いた内容をより深く話せる、実行できるようにしておきましょう。
そして、他にもポイントとして、
ポイント
- 受け答え時に自信がないように見えないように笑顔でいること
- 苦手なことについて聞かれても「できる!」と嘘はつかずに「今後できるようにしていく!」という前向きな返事をする
- 話す時は聞き取りやすくはっきりとした口調で話す
- 言葉遣いが乱れないようにする
- 相手に不快感を与えないように髪型、服装は清潔感があるようにする
が挙げられます。
「声優の技術さえ全力で見せればいい!」と思わずに、振る舞いの全ての第一印象が良くなるようにする、このことを決して忘れないようにしましょう。
声優オーディションの実技審査で受かるコツとは?
自己PRとともに一番の壁になるのが実技審査でしょう。
どの事務所のオーディションでも実技審査は主に、
主な実技審査
- 台本読み
であり、審査側が用意した台本を元に実際に声の演技を行います。ここで審査員は応募者のレベルが求める水準まで達しているかを判断します。
ここで大事なポイントは、
台本読みのポイント
- 滑舌(ちゃんと聞き取りやすいか)
- 発声(ちゃんと大きな声が出ているか)
- なまり(標準語が違和感なく話せるか)
です。
これらが大事であることは声優を志す人にとっては当たり前のことかもしれませんが、大半の応募者は、審査側の求めるレベルまで達していないというのが現実なのです。特に滑舌に関しては努力することで改善できる点であることから、審査員は出来て当たり前という目で見ます。
なので、ここで上げた台本読みのポイントについては、オーディション対策としてだけではなく日頃からの練習を決して怠らず、常に向上させていかないといけないと心掛けましょう。
さらにこれらの実技を行う審査会場に入った時には、
会場での振る舞い
- 見る人に不快感を与える仕草などをとらない
- 笑顔で審査員、スタッフ、他の参加者に挨拶をする
ことを心掛けましょう。
なぜなら、実際の声優の現場には様々なスタッフさんや他の会社の関係者などたくさんの人がいます。その人たちと協力して一緒に仕事をしていくための気遣いができ、「この人となら一緒に仕事をしても大丈夫。」と思える人であるかどうかを、声優としての技術と同じぐらい審査員は見ています。
自己PR、実技審査ともに始まる前、オーディション会場に入った時から自分の仕草なども見られていることは必ず意識して臨みましょう。
業界関係者が声優希望者に求めるものとは?
ここでは、実際に声優業界で仕事をしている方々からのインタビューの中から声優になるために参考になる部分を紹介させて頂きます。
こちらは「ラブライブ!サンシャイン!!」、「キラッとプリ☆チャン」などの音響監督であり、声優・俳優養成機関「ヤオヨロズボイスラボ」の所長でもある「長崎行男」氏と「ケムリクサ」、「けものフレンズ」などを手掛けたアニメプロデューサーである「福原慶匡」氏のインタビューからの注目するべき点を4点ピックアップしました。
オーディション・テープや写真は送る前に何度もとり直しができますよね。事務所の方々も当然、新人を選んでほしくて渾身の一本、奇跡の一枚を送ってきます。
ですが、その方がスタジオでテープと同じ演技ができるかというとそうでないことの方が多いわけです。また、作品への理解度もかなり違うように感じます。「これはどういった作品で何がテーマなのか」「このキャラクターはどんな思いでこの台詞を発しているのか」といったことに対する考察が足りていないんです。
現場では声が小さいだけでNGなのに、それでも声優になりたいって言うんですから。「もっと大きな声を出せ!」と言っても出ない。本来その時点でアウトです。
最近若手の声優さんたちと話していて感じるのですが、絶対に声優になる、なれると確信している人だけが残っていますね。
引用:音響監督・長崎行男と福原慶匡Pが明かす、声優業界のいま【インタビュー】
ポイントをまとめると、
ポイント
- オーディションテープ、ボイスサンプルと同じレベルでオーディションでも演技ができるようにする
- 作品のテーマや演じるキャラクターの感情をしっかりと理解する
- 現場で実演する時は、「大きな声」であることを意識する
- 「できたら、なれればいいなぁ。」のような薄い願望ではなく。「絶対になってみせる!」という強い覚悟を持つ
となります。これらは演技、心構えの基本的なことかもしれませんが、インタビューでお話するということは実際にはそれができていない人が大勢いるということでしょう。これらを意識するだけでも審査員にとっては他のライバルたちとの差を付けられるのではないでしょうか。
こちらは匿名を条件に声優プロダクションの方に行われたインタビューです。このインタビューの中からも参考になりそうな部分を抜粋しましたので参考にして下さい。
若い頃って「夢に直結していること以外は全部ムダ」と考えてしまいがち。たとえば、アニメの仕事で「日曜日の昼下がりに異性と公園デートをする」といったシチュエーションの収録があるとします。そのとき、異性や友達と公園で遊んだり、デートをしたりしたことがないと、想像はできても、凡庸でつまらない、薄っぺらくて、説得力のない演技になってしまうんです。似たような経験があれば自分の経験を引き出して演じることができますからね。もしくは自分に直接的な経験がなくても、友だちや身近な人からの体験談を聞くことで、「経験の代替」になります。つまり実際に体験していなくても、多くの人との関わることで声優や役者に必要な人生経験を「自分のもの」にしていけます。
引用:声優プロダクションの中の人に「声優になるためには?」を聞いてみた!
このように仰っています。やはり実際に様々な経験を積むことで、より演技に深みが増すということでしょう。
他にも声優希望者の年齢についての意見もあります。
──大学を出ると22~23歳。専門ならば20歳くらいですよね。養成所を目指すにしては遅いということはないのでしょうか。
その程度の差ならば全く問題ないです。特に男性の場合は30歳からブレイクする人も珍しくないので、気にする必要はありません。最近は社会人を経験してから声優になる方も多く、その方が社会人としてのマナーを身に付けていますのでスタッフ受けも良く、集団の中での振る舞い方も知っているので、重宝される傾向があります。
しかし、仮に「アイドル声優」を目標としているのならば、やはり若い方が有利なので、少しでも早くから行動した方がいいです。養成所や声優プロダクションよりも、いっそ芸能事務所を目指した方がいいかもしれません。アイドルやモデル、タレントとして知名度を上げて、そこから声優の仕事を増やしていくパターンですね。ただし、アイドル声優から一生食べていける実力派の声優に転身するのは、保守的と言われるこの声優業界では非常に難しいと思いますので、あまりお勧めしませんが…。
引用:声優プロダクションの中の人に「声優になるためには?」を聞いてみた!
と仰っていました。
これらのポイントをまとめると、
ポイント
- アイドル声優以外は若ければ若いほどいいという訳ではなく、20代半ばぐらいでも年齢的にはハンデにならない
- 大学、社会人生活を経験することもちゃんと強みになる
ということです。
これまで挙げたオーディションのコツと併せて、知っておけばよりオーディションに合格できる可能性は上がるのではないでしょうか。
まとめ
ここまで読んで頂いていかかだったでしょうか。おさらいしますと、
記事のおさらい
- 自分に合ったジャンル、事務所をしっかり検討する
- 書類選考では、写真の撮り方、自己PRが大事
- ボイスサンプルは、作成時のコツに注意し、現場でも再現できるようにする
- 面接の自己PR、実技審査では、声優としての強みや将来、基本的な技術をアピールし、言葉以外の振る舞いにも気を配る
- 業界関係者が声優希望者に求めているものを理解し、本番に活かす(詳細は上の記事を参考にして下さい)
となります。
コツと言われてもすでに知っているような当たり前のこともあったかもしれません。ですが、知っていることと出来ることが同じではなく、記事内でも何度もありましたが、実際に大半の声優希望者はこの当たり前のことが審査する側の求めるレベルにまで達してはいないのです。
そして、声優としての技術だけではなく「この人と一緒に働きたい。」と思ってもらえることも重要です。なので、他の人たちに笑顔で接しているか、失礼な態度を取っていないかなどの振る舞いにも十分に注意していきましょう。
これらのことをしっかりと理解、実践することができれば、大勢の希望者の中からあなたが選ばれる可能性はグッと上がることでしょう。あなたのご健闘をお祈りします。