「歌手になりたいけど、オーディションを受けるには書類審査を通過しないといけない。でも、書類審査では何を書いたらいいのだろうか。自己PR欄とかあるけど書き方がわからないしどうしよう。みんなはどんな感じで書いてるのかな。」
歌手になりたいのならまずは通過しないといけないのが書類審査です。空港での入国審査とは違って倍率が高いです。しかし、気をつけるポイントさえ押さえていれば難しいことはありません。
今回は歌手の書類審査に必要な記載事項とその書き方についてまとめてみました。
目次
歌手のオーディションとは
一般人が歌手を目指す場合、数ある音楽事務所が開催している歌手オーディションを受けて合格することが一般的な流れです。一言に歌手オーディションと言っても、歌手に様々なジャンルや形態があるようにオーディションにも様々な種類があります。
歌手の種類で言えば、例えば演歌歌手やロック歌手などジャンルの違いであったり、歌専門の歌手や歌詞も作るシンガーソングライターなどの形態の違いであったりと多岐に渡ります。
事務所によっては表現の幅を広げる目的で歌手としての活動以外にも俳優活動をさせたりするので、歌手のオーディションを受けるに当たってはまず自分がどういった歌手を目指しているのかを絞りつつ、またどのような事務所があるのかをリサーチしておく必要があります。
歌手オーディションの書類審査でチェックされるポイント
ある程度自分の歌手としての方向性が定まったら実際にオーディションに応募する訳ですが、ほとんどのオーディションに応募するに当たっての第一関門が書類審査です。
書類審査において審査員がチェックするのは
- 写真
- 特技
- 志望動機
- 自己PR
の大きく4つです。
写真
歌手に重要な見た目に関わる部分で、書類においての第一印象を決めます。オーディションによって違いますが、多くのオーディションでは「全身写真」と「バストアップ写真」の二種類を求められることが多いようです。
自宅で家族などに撮ってもらった写真を使ってもいいですが、写真スタジオを利用してプロのカメラマンに撮ってもらう方が自宅で撮った写真より自分をアピールできるでしょう。コスト面もあるので、受けるオーディションに見合った方法を選びましょう。
特技
特技は本番のオーディションで披露することになりますが、書類審査でもよくチェックされます。
「特技なんかないんやけど・・・」と書く内容に困ってしまう方が多いかもしれません。しかし、周りを驚かせて歓声を沸き起こらせるような特技は持っている必要はないのです。
審査員は特技そのものを見てレベルの高さで判断している訳ではありません。特技だと思う理由やそれまでの過程が知りたいのです。「特技」という言葉にとらわれず、自分なりの個性または頑張ってきたことをアピールする記載欄と捉えるといいかもしれませんね。
志望動機
履歴書やオーディション用紙には必ずと言っていいほど志望動機の記載欄は用意されています。たくさんのオーディションの中で「なぜこのオーディションを受けたのか」をしっかり伝える必要があります。
主催者がここで知りたいのは、応募者がしっかりした目的意識を持って応募してきたのかどうかです。なんとなく応募したのであればしっかりした志望動機が書けないので、内容から主催者側が察知します。
歌手になりたいと思うみなさんは意味もなく歌手を目指している訳ではないはずです。
「自分の今までの経験を基に歌詞を書いてみんなに聴いてもらいたいから」
「歌を歌うことで自分を表現したいから」
「小さいころから歌うことが好きだから」
「歌を歌うのが上手だと周りからよく言われるので、もっと多くの人に聴いてもらいたいと思うようになったから」
など、まずはなぜ自分は歌手になりたいと思ったのか考えます。その過程でなりたい歌手像についてもイメージできるかと思います。
次に、オーディション主催側の事務所がどのような人材を求めているのかを調査します。自分がなりたい歌手像に近い人材を求めている事務所が見つかれば志望動機も書きやすいでしょう。
シンガーソングライターになりたいと思っている人が歌うことが専業の歌手を求めているような事務所に入りたいとは思わないはずです。もちろん志望動機なんて書こうとしても書けませんよね。
目指している歌手像に合った事務所が見つかれば、「なぜ歌手になりたいと思ったのか」「どういう歌手になりたいのか」「〇〇事務所の求める人材との合致点」を軸に志望動機を書くことができると思います。
自己PR
書類審査の中でも最も重視されるのが自己PRです。書類上で与えられているアピール欄でいかに自分を表現できるかが書類審査通過のカギとなります。
歌手のオーディションは芸能界への入り口です。芸能界では一人一人に他の人より秀でた能力が求められます。バイオリン、ピアノ等子どもの頃から続けてきたことや、コンクールの入賞経験があれば必ずアピールしましょう。
何もアピールポイントがない人には少し厳しいオーディションになりますが、今まで努力してきたことを一つだけでも以下に示すポイントを押さえて審査員に忠実に伝えることができれば、書類審査に通る可能性は十分ありえます。
歌手オーディションの自己PRを書く際のポイント
自己PRを書く際に押さえるべきポイントは4つあります。
それは、
- 丁寧な字で書く
- 読みやすいレイアウトを意識する
- 読み手にイメージしてもらえるような内容を心がける
- 歌手ならではの自己PRを考える
です。順番に詳しく解説していきます。
丁寧な字で書く
丁寧に書かれていない履歴書を誰が真面目に読むでしょうか。字は綺麗である必要はありませんが、丁寧に書かれていないとその人に合格したい気持ちがないと捉えられてしまいます。せっかく吟味して内容を考えたのにそれを読んでもらえないのはとてももったいないです。
丁寧に字を書くのは最低条件であるように思えますが、実は字を丁寧に書くだけでも印象はだいぶ違います。また、自分の印象をアップさせるためではなく、読み手のことを考えて丁寧に書くよう意識するとさらに良いでしょう。
読みやすいレイアウトを意識する
自己PR欄に限らないことですが、審査員にちゃんと読んでもらえるためには字が丁寧なだけでは足りません。文書の構成においても気配りが必要です。レイアウトを考えるに当たって最低限気をつけるべき点を3つ示します。
適切に段落分けする
履歴書にぎっしり詰まった文字を見ると、それを読んだ誰しもが『おぉ…多いな』『読むの大変そう』と感じるでしょう。せっかくのアピールポイントも文章に埋もれてしまって伝わりにくいです。
3、4行くらいを目安に適度に段落分けをすれば文のまとまりができて見やすくなります。
一文を長くしすぎない
一文が長すぎても、全体としてわかりにくいと感じさせてしまいます。
短い文をいくつも繋げるのも全体としてリズムが悪くなるので、主語と述語の対応関係を意識しながら40文字くらいを目安にすると丁度いいです。
文末は単調にしない
「ですます調」で語尾を全て「〜です」「〜します」にしてしまうと、全体として単調で淡白な印象を与えてしまいます。文章のメリハリをつけるため、「〜なのです」や「〜思います」などの変化を加えて、3語続けて同じ語尾にならないように気を付けましょう。
読み手にイメージしてもらえるような内容を心がける
自己PRでの目標は、審査員に自分のアピールポイントを具体的に理解させることです。そういう意味では、「私は誰よりも根性があり、人一倍努力してきた自信があります!」といったことをどれだけ強い気持ちで書いても残念ながら伝わりません。
自分を客観的に見た上で魅力と思えるところを、関連する具体的なエピソードと共にわかりやすく伝える必要があります。
例えば、性格面において我慢強さをアピールしたい場合に以下のようにエピソードを書いたとします。
私のアピールポイントは『我慢強く努力できる』ことです。学生時代に携わっていたアルバイトの仕事では、苦手な分野だったため初めは足を引っ張ってばかりでした。
しかし我慢強く頑張ることにより徐々に周りから頼られるようになり、最終的にはリーダーを務めさせてもらえるところまで成長しました。
この自己PRからは「苦手なアルバイト頑張ったんやな。」という同情が得られるくらいで、アルバイトの内容、期間、何を我慢強く頑張ったのかなどがわからないためイメージが湧きません。
私のアピールポイントは『我慢強く努力できる』ことです。学生時代には〇〇店で個人営業のアルバイトを4年間していたことがあり、そこでは学生でありながら一日の契約件数が求められました。
普通なら半年以内には自力で1件は取れるようになるところを、私の場合は2年間自力0件でした。それでも諦めずに様々な方法を先輩上司から教わり、失敗しながらも誰よりも多くのお客様にアプローチをかけ続けました。
ついに自力で1件とることができてからは一気に軌道に乗り始め、最終的にはリーダーを務めさせてもらえるようになりました。
いかがでしょうか。数字や場所などをを使って具体的に書くことでどれだけ我慢強く努力したのかイメージしてもらえると思います。あまりに細かく書きすぎてもくどいと感じさせてしまうので出来るだけ簡潔に書くことを意識しましょう。
歌手ならではの自己PRを考える
歌手のオーディションに合格するための自己PRで「私はものづくりが得意です。家にあるタンスや食器棚、テーブルなどの家具類は全て自作です」と盛大にアピールしても、関係ないと一蹴されるかその場で別の業界を勧められてしまうでしょう。
では歌手として必要な能力とは何でしょうか。歌唱能力はもちろんのこと、楽器を使うなら演奏技術ですしソロで活躍したいなら歌詞作りの能力などでしょうか。
技術面では確かにそういった能力は最低限必要ですが、歌手としてはむしろ内面的な能力の方が必要になってきます。それは例えば、
- 他のミュージシャンから音楽を学ぼうとする意欲の高さ・積極性
- 自分の音楽センスが認められなくてもくじけないメンタルの強さ
- 日々自分の音楽を追求する継続力
などだったりします。音楽業界において歌手は自身の音楽センスを売りにしていかないといないため厳しい世界です。普通の仕事以上に積極性が求められます。自分の思い通りにならないことが多く、顔や名前を出して仕事をするので風当たりも強くなりがちです。
それゆえにオーディションの場でも音楽業界でやっていける人なのかどうかは必ずチェックされるため、内面のアピールポイントは押さえておく必要があります。以下のような例文を参考にしてみてください。
私は様々な歌手のライブ映像を観ることが好きです。純粋に観ていて楽しいですし、舞台での立ち回りやサビの盛り上げ方が歌手によって様々なので勉強になります。歌手活動ができるようになれば挑戦あるのみで、大きな舞台を盛り上げられるように成長したいです。
最後に
書類審査を受けるのに最も大事なことは、「通過できなくても諦めない」ことです。2、3通送ってみて全て通らなかったからといって気落ちしているようでは、歌手になれたとしても恐らく長くは続かないでしょう。
とは言え、歌手のオーディションを受けようとしているみなさんは今まで何かしらで努力してきたに違いないと思います。
音楽業界含め芸能界はとても厳しい世界です。そんな世界に本気で挑戦しようとしている時点で間違いなく他の人より一歩抜きんでています。自身を持ってオーディションに挑みましょう。