「歌手のオーディションに応募したいけど、デモ音源が必要なところが多いなぁ。」
「デモ音源なんて作ったことないし、作り方を考えたこともない。どうしよう。」
デモ音源が要ると知って、初めての方だとぐんとハードルが上がったかもしれません。
でも、初めてだから不安に感じているだけで、実際はそれほど難しいことはありません。
ではなぜ不安に感じてしまうのか。
それは方法がわからないからです。やったこともないことをするのは誰でも不安です。
そんなみなさんに向けて、この記事では、
- 録音場所
- 録音方法
- 選曲方法
- よくあるミス音源
の4項目について詳しく解説していきます。
目次
デモ音源はどこで録音すると良い?
まず、デモ音源はどこでも作れるというものではありません。審査員に聴いてもらうものなので、雑音の入りなどには注意しなければなりません。外で録音するのは雑音が入りやすいなど不都合があるのでやめた方が良いです。
録音場所としてよく挙げられるのは、
- 家で録音
- カラオケで録音
- レコーディングスタジオで録音
の三つです。順に詳しく解説します。
家で録音
通称「宅録」と言います。移動にかかる時間や費用はかからず、一番手軽にできる録音方法です。いつでもできるという利点もありますが、家族などと同居している人は注意が必要です。
例えば、デモ音源の後ろから別の人の声や生活音が聞こえることは意外とよくあることなので、家の中が騒がしいときは避けた方が良いでしょう。
また、逆に声が外に漏れているケースもあります。デモ音源自体には関係ないですが、単純に近所迷惑で苦情のもとになりかねません。宅録する際にはまず防音環境を整えるようにしましょう。
カラオケで録音
録音に際して最も抵抗感の少ない場所ではないでしょうか。歌うための設備が最低限整っていますし、周りを気にする必要もありません。しかしそうは言っても不特定多数の人が利用するところです。隣の利用者の歌声が入ってしまうことなどはよくあることなので注意しましょう。
また、カラオケではエコーが初めからかかっていることが多いですが、エコーをかけてしまうと本来の歌唱力を審査員にアピールできません。できるだけエコーはかけないようにしましょう。
そうは言うものの、「エコーをかけたら歌が上手に聞こえるし審査に通りやすいのでは」と考えるかもしれません。しかしあまりエコーがあまりに強いと本来の歌唱力ではないので、仮に通ったとしてもその後の2次オーディションでギャップに気づかれてしまいます。
大変だとは思いますが、普段から地道にボイストレーニングをして歌声自体のレベルを上げていきましょう。
レコーディングスタジオで録音
デモ音源作成に失敗したくないならレコーディングスタジオを利用するのが一番でしょう。必要な機材は揃っていますし雑音を一切排除できるので録音場所としては最適です。
しかし気になるのは利用料金、そして施設に入る敷居の高さです。初めてだとよりハードルの高い場所に感じるところなのかなと思います。
金額的な相場で言うと、録音してくれるエンジニアが付く場合には一回あたり約2万円のコストがかかります(店舗により異なります)。そこそこの金額ですがベストな音源を提供してくれるでしょう。エンジニアなしのセルフレコーディングの場合にはスタジオ利用料金のみになり、1回につき1万円以内で利用することが可能です。
全国各地にあり、探せばすぐ見つかるような場所ですので、敷居は高くはないかと思います。24時間営業のスタジオも多くありますので気軽に利用できると思います。
機材の使い方も丁寧に教えてくれるので、初めての方も安心して行って良いと思います。
デモ音源はどうやって録音するの?
デモ音源を作成するにあたり、録音の仕方は音源の質に最も大きく関わってきます。審査員に自分の歌唱力を十分に伝えられる方法を選択しましょう。録音するのには媒体が必要になりますが、録音媒体としてよく挙げられるのは、
- スマホの録音アプリ
- 録音専用のICレコーダー
- DTM、DAW
の3種類です。
スマホの録音アプリ
宅録やカラオケでの録音に使われる方法です。スマホがあれば誰でもインストールできますし、無料版もあるので費用的には申し分ないでしょう。iPhoneユーザーでしたら「GarageBand」Androidユーザーなら例えば「Walk Band」などはオススメです。
「GarageBand」
「Walk Band」
上記のどちらも、スマホアプリでありながら本格的なレコーディングが可能です。以前なら宅録をするのに必要な初期投資が経済的にかなりの負担だったためかなりハードルが高かったのですが、今や無料のスマホアプリとして全ユーザーが使用可能になりました。
無料版とは思えないクオリティですので、是非一度試してみるといいと思います。
録音専用のICレコーダー
ICレコーダーは宅録やカラオケでの録音には重宝されます。家電量販店に行けば1万円〜2万円で十分に質の高いICレコーダーが手に入ります。
経済的な負担はスマホアプリだけで済ませる人に比べれば大きいですが、とは言え一回購入してしまえば何年も使える代物なので、長期で考えればそれほど負担は大きくないのかなと思います。
ICレコーダーを選ぶ際には一つだけ大きな注意点があります。それは、「リニアPCM形式で録音できるのかどうか」です。
みなさんが使用しているようなオーディオ媒体は録音した曲を圧縮せずにデジタル信号化しているので綺麗に聞こえますが、圧縮されてしまうと細かい音が飛んでしまうため原曲の音質とはかけ離れてしまいます。そのためデモ音源作成には適しません。
オリンパスやソニーのICレコーダーを中心にリニアPCM対応の高品質なものがたくさんあります。ちなみに私が使っているICレコーダーでオススメなのが「Linear PCM Recorder LS-100」です。私の場合はシンプルな録音目的で購入しましたが、正直音質が良すぎてもったいないくらいです。
プロのミュージシャンも愛用している程なので、録音媒体としては申し分ないです。
DTM、DAW
聞いたことがないという方もいるかもしれませんが、宅録する際には導入しておくと良いものです。パソコン一つあれば誰でも導入できます。
「DTM」とは「Desk Top Music」の略称で、「パソコンを使って音楽制作をすること」という意味で、「DAW」とは「Disital Audio Workstation」の略称で、「音楽制作をするのに必要なソフトウェア」を意味します。
スマホ録音アプリとして紹介した「GarageBand」は実はDAWです。近頃はスマホやPCが普及したおかげで本当に手軽にDAWを導入できるようになりました。
また、DAWがあれば音源作成は可能ですが、マイク選びやスピーカ選びなど音源作成には持っているといいものが他にもありますので、こだわっていきたい方は是非色々な組み合わせを試してみるといいと思います。
結局どれがオススメ?
デモ音源というのは音質がよければそれだけ高く評価されるというものではありません。
多くの人はスマホやICレコーダーを使ってカラオケルームで行なっていますが、これが結局一番手っ取り早くて始めやすい方法だと思います。
デモ音源作成の時点でこだわりすぎて肝心の歌が疎かになってしまっては本末転倒です。歌が抵抗なく聞き取れる程度で十分ですので、あまり悩みすぎないようにしましょう。
音源に使う曲選びにも注意が必要!
様々なタイプの曲の中でどのような曲を選ぶのかについても慎重に考える必要があります。デモ音源に使うのが自作曲の場合も同様ですが、曲のテンポや雰囲気がバラエティに富んだものであることが重要です。
自分自身が一番歌いやすいと思う歌を選曲するのも悪くはないですが、忘れてはいけないのが、デモ音源を聞いてもらうということは「審査員に歌唱力をアピールする場」をいただいているということです。
「好きだからこの歌にする」と自分本位で決めてしまうと歌唱力が十分にアピールできないことがあります。好きな歌をデモ音源にしたいのであれば、デモ音源に適した歌なのかも併せて考えた方がいいでしょう。
では、デモ音源に適した曲の条件とは一体何でしょうか。
それは、
- テンポのいい曲
- 自分の声のキーに合った曲
の大きく2点です。より良いデモ音源を作るなら他にもたくさん意識する点はあるでしょうが、以上の2点についてのみ意識していれば問題はないと思います。
テンポのいい曲
歌唱力が同じだとしたときに、暗くて悲しい曲とアップテンポのノリノリな曲の両方を審査員が聞いたときにどちらを採用するでしょうか。暗さや悲しさを極限まで突き詰めた自作曲などでない限りは通常はアップテンポな曲が選ばれるでしょう。
要するに、自作でも既存曲でも審査員に良い意味で印象に残る曲にすればいいのです。
しかし、それぞれが考える「良いテンポ」には違いがあると思います。実際にテンポの良い曲を考えてみて、思い浮かんだ初めの2、3曲の平均くらいのテンポイメージに近い曲を選ぶと良いでしょう(私がテンポの良い曲として真っ先に思い浮かんだのは広瀬香美さんの『ロマンスの神様』でした。)。
自分の声のキーに合った曲
自分の出せる音程以上の曲を選んでしまうと、せっかくの歌唱力がほとんどアピールできません。例えば、広瀬香美さんの『ロマンスの神様』を歌いたくても、私のようにサビを歌うときに声が出ないまたはかすれる場合にはやめた方が良いでしょう。
また、キーを下げたら歌えるようになるとも実は一概には言えないため、誰しもが持っている歌いにくい音程部分を歌うことのない曲を選ぶ必要があります。
カラオケなどで原曲キーでは歌い辛い曲のキーを上げ下げして自分の歌いやすいキーを探してみると良いかもしれません。
実際によく選ばれる曲とは
とは言っても実際にデモ音源としてどんな曲が選ばれているのか知りたいという方もいると思います。何曲かご紹介しますね。
・木村カエラ「Butterfly」
・aiko「カブトムシ」
・中島みゆき「糸」
誰もが知っているような歌はやはり選ばれやすいですね。
ただ、審査員受けするような曲はありませんし、選曲が悪いから不合格になることは一切ありません。どんな曲でも、自分が歌の最後まで自信を持って歌える曲ならそれをデモ音源に使うのが一番いいと思います。
ポイント
一番自信を持って歌える曲をデモ音源にする
デモ音源を作ったらそのまま送っていいか最終チェック
審査員に聴いてもらって大丈夫なものかどうか、最後にチェックしておきましょう。宅録やカラオケ録音の場合がほとんどですが、不完全なデモ音源を送付してしまう人が意外に多いようです。
以下によくある例を挙げます。
- 無音
- 後ろから家族の声がうっすらと聞こえる
- 音源データが破損している
- 録音方法がよくないのか、歌詞が聞き取れない
一部は別の章でも解説しましたが、上記のようなミス音源が多くあるようです。一度自分で聴いてみればすぐわかることなので、恥ずかしがらずに聴いてみましょう。自分以外の第三者に聴いてもらうのも良いと思います。
まとめ
今回が歌手のオーディションに必要なデモ音源の作成方法について解説しました。作成場所・方法は様々なので、審査員にちゃんとアピールできる方法は何か考えつつ自分に合った方法を見つけていきましょう。
初めての方には少しハードルが高いかもしれませんが、初めは不恰好でも慣れていけば良いものができると思います。納得いくデモ音源作りに少しでもこの記事が役に立てたら嬉しいです。